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2007年6月24日 (日)

歯はよみがえるのか

本日当院は休日在宅医です。現在のところ問い合わせなし。急患がないという事は平和でよいことです(^0^)

午後3時まで待機してますので、ど~してもお困りの方は連絡してくださいね。

 

さて今日は以前第1報をお伝えした研修会の事を報告します。

20070618_028 先週の土曜日に参加した大学の校友会の学術研修会。講師は日本歯科大学(母校)生命歯学部 発生・再生医科学講師 中原貴先生。タイトルは「歯はよみがえるのか」~歯・歯周組織再生の最前線~でした。

つまり歯を人工的に再生させることはできるかということです。

歯の再生というテーマへの挑戦には歴史的に大きく2つの流れがあるそうです。

まず試みられたのはティッシュエンジニアリング(組織工学)的なアプローチです。

組織の元になる幹細胞・細胞外マトリックス・シグナル因子(以前は成長因子と呼ばれていた)を足場材料となるコラーゲンなどにまぜて培養するというものです。

しかし歯はエナメル質・象牙質・歯髄・セメント質と複雑な構造をしているうえに、再生となると歯根膜など歯をささえる歯周組織の再生も必要です。

この方法ではエナメル質に近いものはできるのですが限界があるようです。

そこで最近の主流はデベロップメンタルバイオロジー(発生学)的なアプローチだそうです。

アメリカ・イギリス・フランスが先端の研究をしているそうで、2004年ごろから報告があるようです。

こちらは胎生10日~14日の胎児の第1鰓弓(一般の方は聞きなれないない言葉ですね。読み飛ばしてください。)にある歯の原基を取り出し特殊な処理のあと一定期間培養したものをまたマウスの腎臓被膜下に移植して約2週間おくと前述の歯の形態がある割合でできるそうです。

しかしこれはマウスのお話でして、マウスの歯では小さすぎて人間には利用できません。

じゃあ人間の歯の元はどうやって調達するの?という話に始まり、人間の歯の元は大きくてマウスの体内で2週間熟成させるわけいかないので、犬や豚を使うことが考えられているそうですが、それで感染や免疫の問題はどうなるのか?

もしうまく熟成した歯の元を移植できたとしても、本当にそれから人間の顎の中でさらに成長して萌出するのかなど、実用化にむけては課題山積というのが現状だそうです。

一般臨床に応用できるようになるには今後相当の年月と研究を必要とするようでして、歯の再生はまだまだ夢の話といったところでしょうか(^-^;)

しかし講師の先生は歯と歯周組織は発生学的にみても複雑な形態であり、これはひとつの臓器と考えてよいものである。これが実現すれば人類初の臓器再生となるので夢にむかってさらに研究を続けたいと熱く語っていらっしゃいました。

本当に夢のある研究だと思いますので、日本の第一人者となって頑張っていただきたいと思います(^0^)

 

余談として、このブログでも2月23日にふれましたが、東京理科大学のグループがほぼ完全な歯の再生に成功したという論文がアメリカの学会誌に載ったことが話題になりました。

もちろんマウスを使ってのお話なのですが・・・。

これはこのイギリスやフランスの研究と酷似しているそうで、イギリスの研究者は何も新しい知見はないのにとカンカンに怒っていらっしゃるとか・・・。

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