お口が寝たきり?
今日は介護保険審査会でした。審査員を務めて7年目になります。
この審査会では、対象者の所に出向いた調査員の記入した調査票と主治医の意見書を見ながら、その方の介護度を決定します。例えば要介護1とか2とか・・・
書類を見ていていつも思うのは、お口に関する記載の少なさです。
書類からお口の状態が推測できるようなケースは本当にごく一部です・・・(^-^;)
歯科医としていつもとても心配になります。
昨年度より介護予防という考え方が全面的に取り入れられ、摂食・嚥下障害に対する処置を含んだ口腔ケアの必要性が大切にされるようになりました。
つまり、お口が健康でなければ正しく食物を摂取できず、また消化吸収もできないので、低栄養となります。またお口の中がバイ菌だらけでは食物と一緒に飲み込んだときに、間違って肺に入ってしまい、肺炎を引き起こします。
これを誤嚥性肺炎といいます。
脳梗塞などの血管障害で麻痺のある方や、加齢により運動機能が低下してくるとこの誤嚥はおこりやすくなり大変危険です。
食事や飲水のときのむせはその兆候であることが多いのです。
低栄養や肺炎を引き起こしてしまいますと、その方の生活の自立度はぐっと低くなり、寝たきりとなってしまうことがよくあります。
また寝たきりの方に、この考え方を応用して口腔ケアを行ったところ嚥下機能が回復して、寝たきりからお元気になられたという報告もたくさんあります。
健口は身体の健康と大きな関わりがあるのです!!
調査員の方、医科の主治医の先生、どうかお口の中をきちんと観察してください。
その方に自分の歯はありますか?プラークまみれで歯ぐきが腫れていませんか?舌はきれいな色をしていますか?舌は動きますか?義歯はお使いでしょうか?また使えていますか?・・・
お口の中から得られる情報はたくさんあります・・・(^0^)/
お口から得られる情報を見逃すと大変なことになってしまう危険性があります!
病気や障害などで、自分で歯を磨いたり、義歯を洗ったりできなくなった方をそのままに放置しておくと、つまりお口の中を寝たきりにしておくと、本当に寝たきりになってしまいますよ!!
調査員の皆さん、医科の主治医の皆さん、ご家族の方、お口の中の状態をきちんと把握してあげてください。
困ったら歯科にご相談ください!そのための制度はきちんと整えられています。
あなた方が気づいてあげないと、誰も気づいてあげられないのです。
その方は訴えたくても訴えられずに困っておられるかもしれません。
貴方の大切な方のために・・・、お願いします・・・m(- - )m
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