歯が抜けた時は・・・
スポーツの秋というわけだからでしょうか、この時期は比較的外傷の多い季節です。
最近、3例ほど続けて歯の外傷の患者さまが来院されました。
その一例で歯が抜けてしまった時のお話を今夜はします。
13歳の男の子です。学校で転んで前歯を強く打ってしまいました。
左上の1番が完全脱臼しています。
右上の1番も歯の動揺を認め、不完全脱臼と診断しました。
レントゲン診査では、幸い顎骨の骨折等は認めないようでした。
局所麻酔の後、麻酔の待ち時間で口腔内の洗浄、歯の抜けてしまった穴もレーザーで念入りに洗浄します。
そして抜けた歯を元の位置にもどします。
この方の場合、もともと左上の1番は突出していたのでこの歯が脱臼してしまったようです。
以前歯の再植・移植の大家、愛知の月星光博先生もおっしゃっていましたが、脱臼・破折などの歯の外傷は、歯並びに不正のある方に多く発症します。
固定は矯正で使うブラケットをよく用いるのですが、この方の場合はでこぼこが強く難しかったので、昔ながらのワイヤーを用いての連続結紮となりました。
はずすときがまた少し大変なのですが、この場合は仕方ないかな・・・
固定期間は症例によって異なりますが、約4週間です。
この症例は、学校の養護の先生の対応がとにかく適切でした。
まず早かったこと!受傷後1時間以内に来院されました。たまたまお母様が当院の患者様だったので、話が早かったということもありますが・・・
脱臼歯の再植は時間との勝負です。早いほど良好な治癒が期待できます。
次に抜けた歯を牛乳に入れて持ってきたこと!
とにかくしてはいけないのは、抜けた歯の根っこを触らないこと。抜けた歯を乾燥させないことです!
牛乳が特によいというわけではありませんが、乾燥しないし、牛乳の中には変な雑菌がいません。
抜けた歯を保存する専用の液もありますが、どこにでもはないので牛乳でも問題ないと思います。
また牛乳も無いときには口のなかに入れてきてください。
唾液があるので、乾燥しませんし、唾液の殺菌作用も期待できます。
本当はこの方法が一番いいのかもしれませんが、なんだか間違って飲み込んでしまいそうですよね
受傷の時間帯とか、状況によっては困難な場合もあるかもしれませんが、この2つの条件がクリアできるとかなりの確率で再植は成功すると思われます。
後はドクターの腕しだいかな・・・
この男の子の歯が、うまく再植に成功することを祈っています
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